博物ニュースNo.6

ートウシキミー
 写真の花を見た事はありませんか。撮影は2015313日台湾太平山です。日本名トウシキミと呼びます。日本のシキミとは花の他、蒴果や種子、葉など全くそっくりです。違う所は有毒か無毒かの違いです。日本のシキミは悪しき実から転嫁したと言われていて、祀る場所の邪氣を払う風習からです。トウシキミの実と私が初めて出会ったのは昭和38年、京都市北区烏丸北大路東北角の中徳商店(現在は別の店)で香辛料として種子が売られていました。昭和40年代後半か50年代初めの頃(記録を取っていなかった)六甲山で採取して間違って食べて、中毒を起こした事が新聞に載りました。気をつけて下さい。

博物ニュースNo.005

ーキタキチョウー
 南西諸島分布と本州分布で和名が別れている。
写真は44日に那賀川下流左岸の土手で撮影した。
キタキチョウ秋型(成虫越冬態)の♂。
ーヒメツチハンミョウー
43日船窪つつじ公園で撮影した♂。ルリ色に輝く美しい昆虫で「はなばち」の幼虫に寄生。
ーオオカマキリモドキー
2013929日高知県松葉川温泉の駐車場の看板に留っていたもの。四国初だ、主に東南アジアに生息している。

博物ニュースNo.004

2014.6.27伊吹山スキー場上アメリカシロヒトリとその被害など
 落葉広葉樹で街路樹や庭園木に徳島県でも昭和40年代後半から時折発生が見られていますが、今年626~27日と滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山のドライブウェー沿いの帰化植物調査の際に見た光景ですが、周辺の山を含めて、落葉樹林帯が見事に冬景色と見間違う程でした。近づいてみるとアメリカシロヒトリの大発生でした。近年琵琶湖周辺のぶな科植物はナラノナガキクイムシの被害が甚大で名神高速道路を走行した方は気がつかれたと思います。徳島県では未だ私は確認していませんが、神山の人家の裏山で良く似た枯れ方をしているアラカシ林があったので見に行ったら、幹の根元を環状剥離されていました。アメリカシロヒトリは夏と秋の二回の発生が知られいます。伊吹山周辺の今年は雨不足で発生したようですが、落葉樹の生育期間中の葉の被害は致命的と考えられ、その後の様子が気になります。小雨温暖化やゲリラ豪雨のように不安定な気象変動は生物にも大きく影響する事が早くから気象学者が警告しています。日本列島は人工林に汚染され、主に杉林化していますが、葉の表面積の特に多い杉は風が吹くたびに自分の身を守るため、必死に冬場の雨量の少ない時期でも土壌水分を吸い上げています。山地では水不足のため先祖代々の住み慣れた地区を離れている集落も見受けます。単一植生化は自然への挑戦です。戦後の日本は「国破れて山河有り」とは裏腹に、木材の需要が高まり、結果、台風被害増大で、国土緑化運動が起こり、素晴らしい緑の国に成りましたが現在の状況は皆様方個々にお感じの事と思います。

博物ニュースNo.003

昨年11月1日撮影の「シオザキソウ」 きく科せんじゅぎく(こうおうそう)属シオザキソウは熱帯アメリカ原産で、和名の由来は1957年東京都江東区塩崎町で発見されたためについた名で、園芸作物のマリーゴールドの原種です。徳島県で見られる機会は非常に少ないと思われますが、林道の開設など撹乱地に侵入します。現在は改良種のマリーゴールドと呼ぶ園芸種が一般的で、孔雀草とも呼ばれ、花壇花として沢山利用されていますが、昭和30年代~40年代では小型の万寿菊と切り花用の千寿菊が栽培されていました。その後、根から出る特殊な香りが土壌線虫(根こぶ線虫など、別名ネマトーダー)の駆除効果が知られ、特殊な香りを出すのを栽培された方はご存知と思います。庭で花類を栽培すると、入手した鉢花などから侵入し、土壌線虫が蔓延して栽培出来なくなった人の話を時折聞く事があるのですが、線虫のせいでした。根こぶを切り取り、ガラスコップに入れ、水を張ってしばらくすると透明でみみずを非常に小さくした生き物が出て来ます。一度機会があれば観察して見て下さい。鉢棚でも水で移動します。特効薬にはバイデートL粒剤(オキサミル粒剤)と呼ぶ農薬が農協で販売されています。医薬用外毒物なので購入の際に印鑑が必要です。
 今夏確認に行ってみたら甲虫らしきものがシオザキソウの葉上に止まっていたので撮影し、パソコンで拡大して見たら、ワキグロサツマノミダマシの仲間でした。大きさは4~6mm位でしょうか。くも類(8)は昆虫(6)とは別の仲間である事をご存知の方もおいでると思います。また、くも類によく似ていますが「ざとうむし」(だにに近い仲間)の仲間が有り、別に分けられています。自然界では自然度の高さの指標になっています。パトロール中に出会う事が多いので気をつけて歩いて見て下さい。動きは遅いです。
8月19日/シオザキソウとワキグロサツマノミダマシザトウムシの仲間


 注 植物分類学上の和名の表記について
 学名は世界共通で死語(変化がない)であるラテン語と統一されていますが、日本では学名の他、和名(種名)使用が普通です。この場合カタカナ表記が主流です。また、地域で違った呼び方をしている場合も見受けますね。因に台湾(旧中華民国)台北市の国立大学近くの専門書を置く書店で入手した図鑑では学名と漢字で表記されています。恐らく漢字文化圏の中華人民共和国も同じと思います。種名(原種や変種)はカタカナ表記、科名や属名などグループ名はひらがな表記と文部省(当時)の指導要録に書かれていると教えられましたので私は従っています。現在も発刊されている改訂牧野新日本植物図鑑は変更されていますね。分かりやすい例として「さくら」や「桜」と書けば、さくらの仲間の事で、サクラと呼ぶ植物は有りません。現実には園芸品種も外来種もカタカナ表記が主流なので混乱しています。園芸品種には漢字を宛てて付いた名が有り、抵抗はないようですね。兎角種名に漢字を宛てたがる人がいますが、漢字の意味を理解したがるのは日本人の特性でしょうか。漢字の意味は時代とともに変化しますのでご注意を。

博物ニュースNo.002

 台風一過被害は有りませんでしたでしょうか。各地ではゲリラ豪雨が続いているようです。さて今回はニュースとしては少し遅れましたが、初夏の徳島新聞でしたか、掲載されていたのをご存知でしょうか。今回はヒラズゲンセイ♂の鮮明な写真をお届け致します。大きさは全長3cm位です。2013714日に黒沢湿原の道路沿いで写したものです。クマバチの幼虫に寄生されると言われています。最初日本では高知県で報告されたのでトサヒラズゲンセイと呼ばれる事もあったそうです。詳しくはネットで見られますが、気をつけていれば徳島県でも見られる事が分かりました。

博物ニュースNo.001

 アイラトビカズラ 日本では熊本県の相良地方で古くから1本のみ知られていましたので、海外渡航者が持ち込んで来た物でないかとの風説がありましたが、2000年に佐世保市の無人島で見つかった事で中国、インド方面から海流伝播だと分かりました。中国の自生種との交配結果、同じ種で有るとの見解だそうです。なお、日本自生のものはクローンのため種子が稔る事が有りませんでした。挿し木(クローン)して育てたものが14年振りに初めて一莢のみですが、稔りました。花柄先端からの長さは47cm有ります。一豆部分約4cm×4cmです。蔓の太さは地上高40cmで直径9cmです。写真で分かるようにさやの表面は黄褐色の粉毛で覆われていましたが、日ごとに脱落しております。
この粉毛が曲者で、刺毛で有り、皮膚に付着するとイラガに触った時のようにチクチクします。京都市の村田源先生(日本の木本植物学の第一任者)に報告した所、京都大学の標本庫にはインド産の種子しか無くて、花は京都大学の温室で見た事があそうですが、莢が見られるのは日本初だそうです。標本庫に納めたいとの事で早速8日に木質部の一部を付けて切り取り、送付しました。