博物ニュースNo.39
日本のきのこで最も中毒が多いと言われているシイタケに似ているので、もしかと思い柄の元を割いて見ると黒っぽいしみ(リンの堆積物)が見られないので、もしかと考え検体を持ち帰り暗がりで見ても昔の腕時計の文字盤のように青白く発光しませんでした。余談ですが「リンが燃える」と表現し、「りん」は体内の骨格に堆積されるので土葬埋葬の場合が多かった時代には、雨降りの夜墓地で犬が掘り出した遺体から発光するのが火の玉伝説の一つになったようです。念のため食べずに劔山クラブ仲間で唯一野外きのこの研究者岡田恭秀氏に見せたら「よく食べなかったね」と言われました。食べるコツがあるそうですが、個人差があるらしくご教示いただけませんでした。シイタケとの見分け方は柄が有るのがシイタケで僅かに有るのがツキヨタケ、傘裏のひだで密なのがシイタケでツキヨタケは祖です。ひだのみで見分けるためには沢山見る事が必要です。
博物ニュースNo.6
写真の花を見た事はありませんか。撮影は 2015 年 3 月 13 日台湾太平山です。日本名トウシキミと呼びます。 日本のシキミとは花の他、蒴果や種子、葉など全くそっくりです。違う所は有毒か無毒かの違いです。日本のシキミは悪しき実から転嫁したと言われていて、祀る場所の邪氣を払う風習からです。トウシキミの実と私が初めて出会ったのは昭和 38 年、京都市北区烏丸北大路東北角の中徳商店 ( 現在は別の店 ) で香辛料として種子が売られていました。 昭和 40 年代後半か 50 年代初めの頃 ( 記録を取っていなかった ) 六甲山で採取して間違って食べて、中毒を起こした事が新聞に載りました。気をつけて下さい。
博物ニュースNo.5
南西諸島分布と本州分布で和名が別れている。
写真は 4 月 4 日に那賀川下流左岸の土手で撮影した。
キタキチョウ秋型 ( 成虫越冬態 ) の♂。
4 月 3 日船窪つつじ公園で撮影した♂。ルリ色に輝く美しい昆虫で「はなばち」の幼虫に寄生。
2013 年 9 月 29 日高知県松葉川温泉の駐車場の看板に留っていたもの。四国初だ、主に東南アジアに生息している。
博物ニュースNo.4
2014.6.27伊吹山スキー場上
落葉広葉樹で街路樹や庭園木に徳島県でも昭和 40 年代後半から時折発生が見られていますが、今年 6 月 26 日 ~27 日と滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山のドライブウェー沿いの帰化植物調査の際に見た光景ですが、周辺の山を含めて、落葉樹林帯が見事に冬景色と見間違う程でした。近づいてみるとアメリカシロヒトリの大発生でした。近年琵琶湖周辺のぶな科植物はナラノナガキクイムシの被害が甚大で名神高速道路を走行した方は気がつかれたと思います。徳島県では未だ私は確認していませんが、神山の人家の裏山で良く似た枯れ方をしているアラカシ林があったので見に行ったら、幹の根元を環状剥離されていました。アメリカシロヒトリは夏と秋の二回の発生が知られいます。伊吹山周辺の今年は雨不足で発生したようですが、落葉樹の生育期間中の葉の被害は致命的と考えられ、その後の様子が気になります。小雨温暖化やゲリラ豪雨のように不安定な気象変動は生物にも大きく影響する事が早くから気象学者が警告しています。日本列島は人工林に汚染され、主に杉林化していますが、葉の表面積の特に多い杉は風が吹くたびに自分の身を守るため、必死に冬場の雨量の少ない時期でも土壌水分を吸い上げています。山地では水不足のため先祖代々の住み慣れた地区を離れている集落も見受けます。単一植生化は自然への挑戦です。戦後の日本は「国破れて山河有り」とは裏腹に、木材の需要が高まり、結果、台風被害増大で、国土緑化運動が起こり、素晴らしい緑の国に成りましたが現在の状況は皆様方個々にお感じの事と思います。
博物ニュースNo.3
昨年11月1日撮影の「シオザキソウ」
今夏確認に行ってみたら甲虫らしきものがシオザキソウの葉上に止まっていたので撮影し、パソコンで拡大して見たら、ワキグロサツマノミダマシ の仲間でした。大きさは 4~6mm 位でしょうか。くも類 ( 足 8 本 ) は昆虫 ( 足 6 本 ) とは別の仲間である事をご存知の方もおいでると思います。また、くも類によく似ていますが「ざとうむし」 ( だにに近い仲間 ) の仲間が有り、別に分けられています。自然界では自然度の高さの指標になっています。パトロール中に出会う事が多いので気をつけて歩いて見て下さい。動きは遅いです。
8月19日/シオザキソウとワキグロサツマノミダマシ
ザトウムシの仲間
注 植物分類学上の和名の表記について
学名は世界共通で死語 ( 変化がない ) であるラテン語と統一されていますが、日本では学名の他、和名 ( 種名 ) 使用が普通です。この場合カタカナ表記が主流です。また、地域で違った呼び方をしている場合も見受けますね。因に台湾 ( 旧中華民国 ) 台北市の国立大学近くの専門書を置く書店で入手した図鑑では学名と漢字で表記されています。恐らく漢字文化圏の中華人民共和国も同じと思います。 種名 ( 原種や変種 ) はカタカナ表記、科名や属名など グループ名はひらがな表記と文部省 ( 当時 ) の指導要録に書かれていると教えられましたので私は従っています。現在も発刊されている改訂牧野新日本植物図鑑は変更されていますね。 分かりやすい例として「さくら」や「桜」と書けば、さくらの仲間の事で、サクラと呼ぶ植物は有りません。現実には園芸品種も外来種もカタカナ表記が主流なので混乱しています。園芸品種には漢字を宛てて付いた名が有り、抵抗はないようですね。兎角種名に漢字を宛てたがる人がいますが、漢字の意味を理解したがるのは日本人の特性でしょうか。漢字の意味は時代とともに変化しますのでご注意を。
博物ニュースNo.2
博物ニュースNo.1
この粉毛が曲者で、刺毛で有り、皮膚に付着するとイラガに触った時のようにチクチクします。京都市の村田源先生 ( 日本の木本植物学の第一任者 ) に報告した所、京都大学の標本庫にはインド産の種子しか無くて、花は京都大学の温室で見た事があそうですが、莢が見られるのは日本初だそうです。標本庫に納めたいとの事で早速 8 日に木質部の一部を付けて切り取り、送付しました。